ギガキャストはアルミダイカストの一種で、自動車のフレームなど超大型部品を一体成形する技術の呼称。テスラ・モデルYで新たに採用された合理化工法。従来、自動車のフレームは多くのプレス部品と溶接で構成されていたが、これを大型アルミダイカストで1部品にする。70部品が1部品になり、1,000台のロボットが300台減ったという。また、車両性能面でも剛性が高まり、走行安定性、静粛性が向上する。課題は事故の際の修繕が難しく修理代が高価になる点だが、ぶつからないクルマを目指して課題を解決するという。
ギガキャストを実現するためには超大型のアルミダイカストマシーンが必要になる、従来のアルミダイカストマシーンの型締力は、大型機でも2,000トン程度だったものが、ギガキャストでは、最低でも6,500トンは必要で、大きさは電車1両程度の超大型機となる。そのため、場合によっては、工場建屋やクレーンの新設も必要で、中小のダイカストメーカーでは、資金面からも対応が困難になっている。
また、金型製作については、大型の金型製作は大型の風呂おけなど民生品分野での製作は従来から行われている。そのため、設備面の対応は容易だが、技術面では、欠陥のない特殊ダイカスト法を組み合わせる必要がある。
普通アルミダイカストは金型を使用し溶湯を高圧で鋳型に射出する鋳造法。主に大量生産の薄肉品で使用する。鋳肌がきれいで、砂型鋳造に比べると精度がよいが、気泡の巻き込みがあるために、気密性や、熱処理や溶接ができない欠点がある。
サイズ:1000㎜~3000㎜
材質:ダイカスト用アルミ合金、汎用材ADC12(Al-Si-Cu系)、自動車フレーム材ADC1(Al-Si系)など
ダイカスト用のアルミ合金は、通常のアルミ合金鋳物に比べて、鉄、亜鉛、マグネシウムなどの不純物が多く許容されている。ダイカスト後の強度は高く靭性がある。
工法:熱処理や溶接が可能となる特殊ダイカスト法。
高真空ダイカストなどが一例で、金型鋳造型内部のキャビティを低真空にして気泡の巻き込みによるブローホールを少なくする。
工程:離型材塗布→ 型閉じ → 型締め →射出 →成形 → 冷却 →型開き →取り出し
画像は日本ダイカスト会議2024 LKジャパンより
13,000トンダイカストマシーンによるデュアルインジェクション シャーシ
