焼き入れ材料

焼き入れできる材料は0.35%以上炭素含有することが条件となる。

◆全体焼き入れ
硬度は鋼に含まれる炭素量で決まる。熱処理方法は炭素鋼の場合では、鋼を組織の構造が変化する変態点温度(700℃)より高い800~850℃まで上昇させ、所定時間置いた後、水冷で数秒急冷し、その後空冷する。これにより、組織がマルテンサイト変態によって微細化され強度が上昇する。

<鋼材>
炭素鋼:S35C(C0.35%)~S58C
合金鋼:SCM435(C0.35%)など高炭素合金鋼
快削鋼:SUM41(C0.35%)、SUM42(C0.4%)、SUM43(C0.45%)など
軸受鋼:SUJ2(C0.95 ~1.1%)が主流、その他SUJ3、SUJ4、SUJ5
ステンレス材:マルテンサイト系SUS400系のごく一部と析出硬化系が焼入れできる
SUS440C(C0.95 ~1.2%)、SUS420J1(C0.16~0.25%)、SUS420J2(C0.26~0.40%)
析出硬化系:SUS630(17Cr- 4Ni-4Cu-Nb)C0.07%、と SUS631(17Cr-7Ni-1Al)C0.09%
SUS630は銅Cu4%、SUS631はアルミ1%を加えることで、熱処理による析出硬化性を持たせている。

<ばね材>
線材:ピアノ線SWPBなど
耐熱バルブスプリング:SWOSC(シリコンクロム鋼オイルテンパー線)
板材:
薄板0.01~3.5㎜:工具鋼:SK5(SK85)が主流、その他SK2(SK120)~SK7(SK65)
厚板3㎜以上:ばね鋼:SUP10が主流、その他(SUP6~SUP13)

◆浸炭焼き入れ
全体焼き入れしても効果のない材料に対しては表面焼き入れを行う。

炭素鋼:S20Cなど(S10C、S15C、S20C、S25C、S30C)
合金鋼:肌焼き鋼SCM415(C0.15%)、他にも低炭素合金鋼SCM、SCr、SNCMなど

◆焼き入れ可能アルミ材
時効処理
鉄鋼材料では焼き入れで、マルテンサイト変態によって組織が微細化され強度が上昇するが、アルミニウム合金では鋼材のような変態がない。そのため、溶体化処理により515~550℃で加熱を行い、合金元素をアルミ中に溶け込ませ、微細な金属間化合物として析出させ硬度を上げる。この熱処理を時効処理という

・展伸材、鍛造材:A2000系(Al-Cu系)、A6000系(Al-Mg-Si系)、A7000系(Al-Zn―Mg-Cu系)が熱処理可能。
A2017ジュラルミン、A2014 快削ジュラルミン、A2024 超ジュラルミン、
A6061丸棒材、A6063パイプ材など
A7075超超ジュラルミンなど

・鋳造材: AC4B(Al-Si-Cu系)、AC4C(Al-Si-Mg系) 、AC4D (Al-Si-Mg-Cu系)、AC2B(Al-Cu-Si系) など

・ダイカスト材:ADC12(Al-Si-Cu系)、ADC14(Al-Si-Cu-Mg系)、ADC3(Al-Si-Mg系)など

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