ステア・バイ・ワイヤ

ステア・バイ・ワイヤは、ステアリングホイールとステアリングラック機構の間の機械的接続を省き、電子信号によって制御指令の伝達を行う。最終的にはコックピット空間拡大を目指している。
電気系統の故障やセンサーの誤動作が発生した場合、直接的に車両の操縦性能に影響を与える可能性があり、信頼性の高い、冗長設計の多重化と路面反力のフィードバックが課題になっている。

そのため、まずは、少量生産車や、補助システムである電動後輪操舵システムなどにステア・バイ・ワイヤを採用しノウハウを蓄積している状況である。

一方、高度運転支援システム(ADAS)でもADASセンサーやカメラの認識機能が急速に向上し、ブレーキとステアリングの協調制御の採用が加速し、ステア・バイ・ワイヤも検討されている。

サイズ:500~800㎜

構成例:
ECU複数個
ステアリング操舵アクチュエーター(ステアリングホール、トルクセンサー)
ステアリング転舵アクチュエーター(モーター、ギアボックス、ピニオン回転角センサー)
ステアリング用MCU(電磁クラッチ、ローラークラッチ)
注)MCU:電動パワーステアリング モーター・コントロール・ユニット

ケース材質:アルミダイカスト

[参考:ステア・バイ・ワイヤ採用状況]
日本車
• 2014年、日産自動車がフェイルセーフ機構を採用したステア・バイ・ワイヤ(SBW)を導入した。このステア・バイ・ワイヤは、ステアリングホイールと前輪の車軸の締結はクラッチ式で、故障を検知した場合には従来通り機械的に接続される。また、冗長性の確保面では、ECUを3個使用するなど、安全設計であった。
• 2022年、トヨタは、電動車「bZ4X」、「レクサスRZ」にステアリングとタイヤを物理的に切り離すステア・バイ・ワイヤ(SBW)を上市した。量産車としては世界初。ハンドル操舵角は150度と少なく、腕が交差しきらないうちにタイヤはいっぱいに切れる。駐車時のステアリング操作でステアリングをくるくる回す必要がなくなる。

米国車
• 2023年にデビューしたテスラのサイバートラックは、ステアリングシャフトを廃止しステアバイワイヤ(SBW)方式を採用した。
ステアバイワイヤシステムはZFと共同開発したもので、制御基板にはメインとなるマイコンを2個とサブとなるマイコンを2個を実装し、ステアリングシャフトを廃止できるフェールセーフを実現している。

中国車
• 2024年、小米は高性能車SU7で48Vステア・バイ・ワイヤを量産した。5:1から15:1まで調整可能で、自動車線変更が可能とされている。しかし、現在の中国の交通法規ではADASシステムを使用中であっても、ドライバーはハンドルから手を放してはならないと規定されている。
• 2024年12月、中国市場では、蔚来汽車(NIO)の「ET9」ステア・バイ・ワイヤを量産した。ドイツZFはステアリングに操舵感覚を与えるステアリング・ホイール・アクチュエーター、冗長ステアリング・ギア・アクチュエーター、関連ソフトウエアなどを供給する。これらによりステアリングホイールと駆動輪の間に機械的な接続がなくなる。

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