加熱・軟化させた板状の熱可塑性樹脂を型に合わせて真空吸引することにより成形する。雄雌セットの型は必要なく、片面の型で成形できる。型の材質は樹脂、アルミなど切削性が良く安価。長所はあらかじめシルク印刷を施した材料を使用し、刻印やデザイン製品を成形できる。一方短所は、肉厚変化には対応できず、アンダーカットのある形状には対応できない。またスクラップは大量に発生する。
サイズ
100㎜~1000㎜
材質
熱可塑性樹脂全般
<着色材(低価格順)>
PPポリプロピレン:乳白色、軽量材、バンパー材
ABS:メッキ、塗装等の加飾用途
<透明樹脂(低価格順)>
PVC塩化ビニル:透明とグレー、廉価材
PETポリエチレンテレフタレート:透明と白
PMMAアクリル:透明、テールライト材
PCポリカーボネート:透明、耐熱、耐寒、耐衝撃性良好、ヘッドライト材
工法
成形法はエアースリップ法、プラグアシスト法、圧空真空成形、熱板式などがある。
加熱法 | 下金型 | 下型吸引 | 上金型 | 上型加圧 | |
エアースリップ法 | 上ヒーター温風 | あり | 真空圧 | なし | なし |
プラグアシスト法 | 上ヒーター温風 | あり | 真空圧 | 簡易型 | なし |
圧空真空成形法 | 上ヒーター温風 | あり | 真空圧 | なし | 圧空 |
熱板式・圧空真空成形法 | 上熱板接触式 | あり | 真空圧 | なし | 圧空 |
◆エアースリップ法
加熱して軟化させた材料を、下側からの圧縮空気で膨らませながら、凸形状の型を突き上げる。その後、反対に真空吸引することにより材料を型に密着させ成形する。 内側にのみ型を密着させるため、外側は滑らかな表面仕上がりとなる。
工法:
レイアウト:下型、中シート、上ヒーター
シート加熱→上昇エアーブロー→真空成形(下型上昇→下真空)→冷却→離型
◆プラグアシスト法
凹形状の型を使用する。真空吸引すると同時に、プラグと呼ばれる補助型で上から押さえつけ、成形するのに難しい細部なども精密に成形する。
工法:
レイアウト:下型、中シート、上ヒーター、プラグ
シート加熱→真空成形(下真空→プラグ下降)→冷却→離型
◆圧空真空成形部品
加熱して軟化させた材料シートに、下型から真空吸引することにより型に密着させ成形する。その際同時にシート上面から圧空を重ねる成形法。
工法:
レイアウト:下型、中シート、上ヒーター
シート加熱→(下型上昇→)圧空真空成形(下真空、上圧空)→冷却→離型
◆熱板式 圧空真空成形部品
圧空真空成形の一種で材料シートの加熱を直接熱板で温める方式もある。加熱時間の短縮が図れる。
レイアト:下型、中間シート、上熱板
熱板下降→シート接触加熱→(熱板上昇、下型上昇→)圧空真空成形(下真空、上圧空)→冷却→離型