種類:
PVD物理蒸着:真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング
CVD化学蒸着:プラズマ
PVD物理蒸着 | ← | ← | CVD化学蒸着 | |
蒸着法 | 真空蒸着 | イオンプレーティング | スパッタリング | プラズマ |
ワーク | プラスチック | 金属 | 金属、プラスチック | 金属、プラスチック、ゴム |
成膜材料 | アルミ等 | チタンTi系 クロムCr系 カーボンDLC系 金属 | チタンTi系 クロムCr系 カーボンDLC系 金属 | チタンTi系 クロムCr系 カーボンDLC系 金属 |
硬度 | ― | Hv4000 | Hv4000 | Hv4000 |
膜厚 | 0.05〜0.1μm | 1~5μm | 1~5μm | 1~5μm |
真空度 | 高 | 高 | 高 | 低 |
温度 | 高温 | 高温500℃ | 低温 | 中温300℃ |
<各種蒸着法>
□真空蒸着
物理蒸着の一種で、安価なため広く普及している。
真空中で成膜材料を加熱蒸発させ、ワークの表面に薄膜を付着させる。
自動車部品では、ヘッドライト内のプラスチック製リフレクターやプラスチック成形品の加飾などに使用される。ワークはプラスチック、ガラス、セラミックス、金属などいろいろな材料に対応できる。蒸着金属はアルミニウムが多く、クロム、金、銀、銅なども対応できる。膜厚は0.1μm以下と極薄だが、均一の厚みをもつ。被膜の耐久性や外観向上のために、アンダーコートとトップコートを施すことが多い。
処理方法は、真空蒸着機の釣鐘状のフックにワークを入れてぶら下げ空気を抜き真空にする。釣鐘を回転させながら、蒸着材料を高温加熱し蒸気を発生させ、ワークに付着させる。小物の大量生産品に適する。
材質:
被膜:アルミニウム、クロム、金、銀、銅など
相手材:プラスチック
工法:
真空蒸着
□PVD(Physical Vapor Deposition)
物理蒸着とも呼ばれる成膜法。
真空中で成膜材料を加熱・蒸発させ、ワークの表面に薄膜を付着させる。
真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングの3つの方式があるが、いずれも高真空下で行う。
切削工具や金型などで使用する超硬質被膜は、チタンTi系硬質膜(TiN)やクロムCr系硬質膜(CrN)、カーボン系DLC(Diamond Like Carbon)などが使用される。配合は各社各様で種類が多く、選定が難しい。装飾用の蒸着金属はアルミニウム、金、銀、銅などが蒸着できる。
材質:
被膜:チタンTi系硬質膜(TiN)やクロムCr系硬質膜(CrN)、カーボン系DLC(Diamond Like Carbon)など
相手材:金属
工法:
イオンプレーティング、スパッタリング
◆イオンプレーティング
物理蒸着(PVD)の一種。真空蒸着と違う点は電気を使用する点で、製品にマイナスを加えて、気化した蒸着金属にプラスの電気を帯びさせ蒸着する。粒子同士が密着する為、真空蒸着に比べて密着性が高い。装置は高圧電源を使用し高価なので、チタンやクロムなど高価な金属をコーティングする場合に使用する。
◆スパッタリング
物理蒸着(PVD)の一種。真空蒸着と違う点は不活性ガスであるアルゴンガスを導入することと、高電圧をかけグロー放電を発生させる工程があること。蒸着材料の加熱蒸発や薬品などを必要としない。
真空蒸着は真空中で材料を蒸発させて蒸気を蓄積させて膜を形成するのに対し、スパッタリングは成膜材料とワーク間に高電圧をかけ、スパッタリング現象によりイオン化した成膜材料成分を直接ワークにぶつけて膜を形成する。
高融点金属など、真空蒸着法では困難な材料でも成膜が可能で、広範囲な成膜材料に対応できる。
・グロー放電:電流密度とガス圧が低い時の発光(グロー)。
・スパッタリング現象:電子が高速移動しターゲット(成膜材料)に衝突しターゲットの粒子をはじき飛ばす現象
・不活性ガス:アルゴンガスなど金属を腐食させないガス。アルゴンガスは危険物質ではないので安全性が高い。
□CVD(Chemical Vapor Deposition)
化学蒸着とも呼ばれる成膜法。
処理方法はPVDが薄膜材料を直接気化して薄膜化するのに対して、CVDは薄膜構成原子を含む化合物ガスを原料として化学反応を利用して薄膜を付着させる。
切削工具や金型などで使用する超硬質被膜で使用する。PVD同様に、チタンTi系硬質膜(TiN)やクロムCr系硬質膜(CrN)、カーボン系DLC(Diamond Like Carbon)などが蒸着できる。
プラスマCVD、光CVD、熱式CVDと3つの方式がある。
プラズマCVDと光CVDは300℃とPVDよりやや低温で高真空でなく低真空で行えるため装置も簡素化する。熱式CVDも400℃~500℃の高温だが大気圧で行えるため、CVD はPVDより取り扱いが容易といえる。
材質:
被膜:チタンTi系硬質膜(TiN)やクロムCr系硬質膜(CrN)、カーボン系DLC(Diamond Like Carbon)など
相手材:金属、ゴム
工法:
プラスマCVD(低真空、中温300℃)
光CVD(低真空、中温300℃)
熱式CVD(大気圧、高温500℃)