■アルミダイカスト材質
ダイカスト用のアルミ合金は、通常のアルミ合金鋳物に比べて、鉄、亜鉛、マグネシウムなどの不純物が多く許容されている。ダイカスト後の強度は高く靭性があるが、普通ダイカストは鋳巣があり耐圧品には向かない。
よく使用されるダイカスト材質
材質 | ADC12 Al-Si-Cu系 | ADC10 Al-Si-Cu系 | ADC1 Al-Si系 | ADC5 Al-Mg系 | ADC6 Al-Mg-Mn系 | ADC14 Al-Si-Cu-Mg系 | |
添加材 最大配合量% | Si:12 Cu:3.5 | Si:9.5 Cu:4 | Si:13 | Mg:8.5 | Mg:4 Mn:0.6 | Si:18 Cu:5 Mg:0.65 | |
物性 N/mm2 | 引張 伸び% | 310 3.5 | 320 3.5 | 290 3.5 | 310 5 | 280 10 | 320 1 |
自動車部品例 | エンジン部品他 | エンジン部品他 | フレーム | 外装部品 | 外装部品 | ATオイルポンプ | |
加工性 | 鋳造 | ○ | 〇 | ○ | x | △ | x |
切削 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | x | ||
性能 | 強度 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | 〇 | ◎ |
靭性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | x | |
耐圧 | x | x | x | x | x | x | |
耐熱 耐摩耗 | ◎ | ||||||
耐食 | 〇 | 〇 |
◆ADC12(Al-Si-Cu系)
特徴:機械的性質と鋳造性に優れている。日本ではダイカストの全生産量の90%は自動車用で、そのうちの多くにADC12材が使用される。
自動車部品用途:ウォータポンプカバー、オイルポンプ、ブラケット、カム、シャフトベアリングキャップ、シリンダブロック、チェーンカバー、インテークマニホールド、トランスミッション、トルクコンバータステータ、ホイルキャップ、サイドミラー、シートフレーム、トランスミッションカバー、パワーステアリングポンプ、ピストンなど
◆その他の材質
◇ADC10(Al-Si-Cu系)
ADC12に近い配合だが、ADC10は被削性にも優れる。
自動車部品用途:エンジン部品などADC12と用途は同じ。
◇ADC1(Al-Si系)
耐食性が良く、金型内での溶湯の流動性が高く鋳造加工しやすい(鋳造性が良い)ものの、耐力はやや低い
自動車部品用途:メインフレーム、フロントパネルなど
◇ADC5(Al-Mg系)
耐食性が最も良いが鋳造性に劣る
自動車部品用途:クランクケースなど
◇ADC6(Al-Mg-Mn系)
耐食性はADC5に次いで良く、鋳造性はADC5より優れているものの、ADC1(Al-Si系)に比べると劣る
自動車部品用途:ウォーターポンプ、二輪車のハンドルレバーなど
◇ADC14(Al-Si-Cu系)
耐摩耗性が良い。耐力高いが伸びが劣る。
自動車部品用途:オイルポンプなど