鍛造アルミ材料

よく使用される鍛造用アルミニウム合金材料を記載する。
常温または再結晶温度以下でアルミニウム合金材料に圧力を加える「冷間鍛造」と、再結晶温度以上の高温下で圧力を加える「熱間鍛造」に分類される。必要な精度やサイズ等によって熱間鍛造または冷間鍛造のどちらか最適な工法を選択する。

◆冷間鍛造材
冷間鍛造は比較的小型の部品製造に適している。表面を滑らかに仕上げることができ、細部まで高精度な加工が可能。しかし、大きな圧力と摩擦力が金型にかかるため、金型が破損しやすく寿命が短いことが難点。

材質:
A4032(アルミ耐熱合金): Al-Si系合金。冷間鍛造に適しており、ケイ素Siの添加は耐熱性、耐摩耗性が向上する。切削加工には向かない。
自動車用途:
ピストン、シリンダーヘッド、ブレーキマスターシリンダーなど。この合金は熱膨張率が抑えられているため鍛造ピストンなどで使用される。
工法:
材料切断→焼なまし→潤滑(ボンデ処理)→鍛造→時効処理→機械加工→酸洗→検査・出荷

◆熱間鍛造材
熱間鍛造は比較的大型の部品製造に適している。柔らかくなった状態で圧力を加えるため、冷間鍛造に比べ低い圧力で複雑な形状加工が可能。強度・靱性を高めることができる上、薄肉化により軽量化が容易となる。
しかし、アルミニウムは低融点材であり、鋼材に比べて伸びが悪いため成形の難易度が高く、鍛造した後にアルミ材内にとどまる残留応力の低減も課題となる。

材質:
① A2017(ジュラルミン):Al-Cu系合金:銅Cuを多く含むため、鋼材に匹敵する強度を持つ。耐食性はよくない。切削性を求める場合、A2017(ジュラルミン)より切削性がよいA2014も採用される。
自動車用途:コンロッドなど

② A6061:Al-Mg-Si系合金。熱処理型の耐食性アルミ合金。熱間鍛造性に優れており、耐食性が良好。
自動車用途:ABS(横滑り防止ブレーキ)ハウジングなど

③ A5056:Al-Mg系合金。主に丸棒材。非熱処理系溶接構造用合金。陽極酸化処理性が高く、耐食性、耐塩水噴霧性に優れている。
自動車用途:エアバッグインフレーターなど

工法:
材料切断→加熱炉(約300℃~480℃)→鍛造→バリ抜きプレス→時効処理→機械加工→酸洗→検査・出荷

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