精密ばね材料

自動車用途では、線ばねではブレーキ用途などでピアノ線SWPB、エンジンバルブスプリングにシリコンクロム鋼オイルテンパー線SWOSCなどが使用される
薄板ばねでは工具鋼SK85(旧SK5)、ステンレス鋼帯SUS304CSPなど、厚板ばねはリーフスプリングとして大型商用車用にSUP11A、中小型商用車用にSUP9Aなどが使用される。

ピアノ線SWPは民生用の硬鋼線SWよりも高強度な線材。もともとはピアノの弦用だが、化学成分が均一で、不純物や非金属介在物が少ないことなど、硬鋼線よりも厳しく規定されている。 JISにはSWP-A、SWP-B、SWP-V(バルブ用)の三種類がある。線径は、SWP-Bが0.08~7mm。SWP-Aが0.08~10㎜。引張強さは線径ごとに規定されており、線径3.2mmのSWP-Bでは1860から2060N/mm2 となっている。SWP-Aは全般に強度が10%落ちるが靭性が上がる。

オイルテンパー線は、エンジンバルブで使用される耐熱バルブスプリング用途。高温環境でもへたらないように成分を調整している。冷間成形で所定の線径にした線材を連続的に油中で焼入れした後焼戻しを実施して製造される。ピアノ線以上の引張強さをもち、耐疲労性や耐熱性に優れている。 コイニング加工後はただちに
低温焼なまし(300~400℃)を行う。また、水素脆性に弱いため、酸洗やめっきは厳禁。防錆油を塗布して輸送しエンジンに組み付けて、油中でそのまま使用する。錆びる環境では使用できない。

材料:
<線材>
ピアノ線:動荷重用途:SWP-B(高強度0.08~7㎜)、その他SWP-A(高靭性0.08~10㎜)がある
材料工程:冷間で引抜き加工硬化→低温焼なまし(300~350℃)(→コイニング→低温焼なまし→)

硬鋼線:静荷重用途SW-C(0.08~13㎜) その他SW-A、SW-B線細工用途、
材料工程:冷間で引抜き加工硬化→低温焼なまし(300~350℃)(→コイニング→低温焼なまし→)

オイルテンパー線:高温環境動荷重用途:SWOSC-V(高強度シリコンクロム鋼)、その他 SWOSM-A,B,C(シリコンマンガン鋼)がある
材料工程:油焼き入れ→焼き戻し(550~600℃x1H→空冷)(→コイニング→低温焼なまし→)

ステンレス鋼線:SUS304WPB
材料工程:冷間で引抜き加工硬化(→コイニング→低温焼なまし→)

<板材>
薄板0.01~3.5㎜:
工具鋼:SK85(旧SK5)、その他SK120(旧SK2)~SK65(旧SK7)
材料工程:油焼き入れ→焼き戻し(550~600℃x1H→空冷)(→コイニング→低温焼なまし→)

ステンレス鋼帯 SUS304CSP(0.01~2㎜)
材料工程:→冷間で引抜き加工硬化(→コイニング→低温焼なまし→)

工法
<圧縮コイルスプリングの場合>
コイニング成形→低温焼きなまし→機械加工(端面3/4研摩)→ショットピーニング→表面処理(テンパーカラー低温焼鈍)→セッチング(密着圧縮) →防錆処理(防錆油塗布または黒染めなど化成処理)

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