アルミニウムの特長は
- 軽量(比重2.7 鉄の1/3)
- 高強度(重さあたりの強度が高く鉄の3倍。熱処理で強度が増す)
- 電気伝導性(銅の約6割だが、銅の約1/2の重量で電線ができる)
- 熱伝導性(230W/m·Kで鉄の2.7倍、放熱材やエンジン部品などに用いられる)
- 反射性(鉄に比べれば反射性ははるかに良い)
- リサイクル性(溶けすい融点660℃、鉄約1,500℃)
- 加工性(鋳造しやすく薄膜化も可能。切削時間は鋼材の1/5。押出・鍛造も可能)
- 耐食性(自然に酸化皮膜を形成し耐食性が良い。赤さびはでない)
- 非磁性(磁気を帯びない)
アルミは、柔らかく、傷つきやすい。そのため、純アルミニウムが使われることはなく、マンガンや銅、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、ニッケルなどを付与した「アルミニウム合金」が使われる。JIS規格が適用され、自動車で使用されるのは2000〜7000系の6種類の番手がある。
材質(伸展用合金)
番手 | 2000番 熱処理型 | 3000番 | 4000番 | 5000番 | 6000番 熱処理型 | 7000番 熱処理型 | |
主添加材 | Cu | Mn | Si | Mn | Mn-Si | Zn-Mg-Cu | |
代表材 | 2011 | 3003 | 4032 | 5083 | 6063 | 7075 | |
自動車部品例 | 切削部品 | 配管 | 耐熱ピストン | タンク部品 | 油圧部品 | バンパー | |
工法 | 快削材 | プレス ろう付け | 冷間鍛造 切削 | プレス 溶接 | 鍛造 切削 | 押出 | |
価格 | ○ | x | |||||
性能 | 引張強度 | ○ 385 | 110 | ○ 380 | ○ 315 | 240 | ◎ 570 |
耐食 | x | ○ | ○ | ◎ | x | ||
耐熱 耐摩耗 | ◎ | ||||||
加工性 | プレス | ○ | ○ | ○ | |||
溶接 | x | ○ | x | ||||
切削 | ○ | x | x | ○ | |||
鍛造 | ○ | ○ | ◎ | ||||
押出 | ○ | ○ | ○ | ||||
備考 | 2017ジュラルミン 2024超ジュラルミン | 板材 棒材 | 7075超超ジュラルミン |
■2000番系: Al-Cu系合金
◆代表的な材料番号:A2017(ジュラルミン)やA2024(超ジュラルミン)
成分:銅を付加することで鋼材に匹敵する強度を持つ。
特徴:欠点は銅を含むと耐食性は低下すること。また溶接割れが発生しやすいため溶接には不向きとされている。
自動車用途:コンロッドなど
◆代表的な材料番号:A2011
成分:鉛Pb0.2~0.4%添加
特徴:快削性
自動車用途:コンプレッサー部品
近年は環境対応でPbフリーの代替材料が開発されている。
■3000番系: Al-Mn系合金
代表的な材料番号:A3003
成分:アルミニウムにマンガンを加えた合金。
特徴:純アルミニウムの特性であるプレス加工性、耐食性を維持させつつ、強度を少し増加させたもの。切削加工には向かない。アルミ飲料缶で使用されるため生産量が多く安価。
自動車用途: 配管部品
■4000番系: Al-Si系合金
代表的な材質番号:A4032 アルミ耐熱合金.
成分:アルミニウムにケイ素(シリコン)を加えた合金。
特徴:ケイ素の特性は耐熱性、耐摩耗性が向上する。切削加工には向かない。
自動車用途:この合金は熱膨張率が抑えられているため鍛造ピストンなどで使用される。
■5000番系: Al-Mg系合金
代表的な材質:A5052板材、A5056丸棒、A5083板材、丸棒
成分:アルミニウムにマグネシウムを加えた材料。
特徴:耐食性と強度、溶接性が高い材質。変形量が多い部位は、Mg量の多いA5083が使用される。切削材料としても多く使用される。
自動車用途:タンク部品、エアバッグインフレーターなど
A5052(Mg少量)はアルミ合金全体の中で中程度の強度を持ち、合金板材の一般的な材質。
A5056(Mg中量)は丸棒の一般的な材質で、耐食性や切削性に優れています。
A5083(Mg多い)は非熱処理合金の中では最高の強度を誇り溶接性に優れている。
■6000番系: Al-Mg-Si系合金
◆代表的な材質:A6063
成分:アルミニウムにマグネシウムとケイ素が付加した材料
特徴:高い耐食性と加工性。特に鍛造に適しているが、溶接には向かない
自動車用途:サンルーフレールなど
◆代表的な材質:A6061
成分:A6063に少量の銅を添加した。
特徴:A6063の強度をさらに高めたもの。鍛造性に優れる。
自動車用途:リベット材や自動車の小部品に使用される。
■7000番系: Al-Zn-Mg-(-Cu)系合金
アルミに亜鉛・マグネシウム・銅・を添加したものと銅を含まないものの2種類がある。
<Al-Zn―Mg-Cu系>
代表的な材質:A7075合金は超々ジュラルミンと呼ばれる。
成分:アルミにマグネシウム・亜鉛・銅を添加したもの。
特徴:熱処理による硬化でアルミニウム合金のなかでは最強の強度を誇る。
欠点は価格が高く、腐食しやすいため、アルマイトなどの表面処理が必要。
自動車用途:バンパーレインフォースなど
<Al-Zn―Mg系>
代表的な材質:A7204(7N01)
成分:アルミに亜鉛・マグネシウムを添加したもの。銅を含まない
特徴:溶接性に優れ、溶接構造用材料として適している。
自動車用途:二輪車フレームなど