吸気バルブ
ほとんどのエンジン形式で使用される。
エンジン燃焼室において、燃焼に必要な空気や混合気を取り入れるために備えられる弁。耐熱500C。
材質はいろいろあるが、温度で軟化する懸念はないため高価な Ni(ニッケル) が含まれないマルテンサイト系耐熱鋼SUH3などが使用されている。高硬度が必要なため、含有カーボンは0.4%となっている。
吸気バルブはポペット弁と呼ばれるキノコを逆さにした形の開閉バルブで、バルブスプリングによって、バルブは閉じている。
4サイクルエンジンにおいて、カムの働きにより、吸気時には吸気バルブを開き、圧縮、燃焼、排気時には吸気バルブを閉じ気密する。
吸気行程 ピストン下降 吸気バルブ開 排気バルブ閉
圧縮行程 ピストン上昇 吸気バルブ閉 排気バルブ閉
燃焼行程 ピストン下降 吸気バルブ閉 排気バルブ閉
排気行程 ピストン上昇 吸気バルブ閉 排気バルブ開
実際には、吸気弁は上死点のすこし前に開き、空気には重さがあり遅れるため、下死点をすこし過ぎてから閉じる。上死点前後で、排気弁と吸気弁の両方が開いている時間をオーバーラップと呼ぶ。オーバーラップ時間は残留ガス量が変化し、燃費や排出ガス特性に影響する。
画像は愛三工業製吸気バルブ。
方式
DOHC、SOHC、OHV
サイズ
50mm~100mm
材質
マルテンサイト系耐熱鋼SUH3(C0.4,Cr11,Si2,Mo1,Mn0.2%)など
工法
棒材→素材切断→摩擦圧接→機械加工(研摩、面取り)→鍛造(傘部)→盛り金→熱処理(焼入焼戻)→軸歪矯正→熱処理(歪取り焼鈍)→機械加工(端、軸、傘)→表面処理(軟窒化処理)→熱処理(軸端部、高周波焼き入れ)→機械加工(軸端研削→傘フェース研摩)