部分焼き入れ(高周波/レーザー)

部分加熱により表層のみを加熱する。熱処理の硬度とし、耐摩耗性などを向上させる。S30C以上炭素鋼、合金鋼、鋳物に多く用いられている。局所焼入れが可能で、製造ラインでは作業時間が短く自動化ができるなどの長所がある。

【適用】クランクシャフト、歯車、カム、ブレーキーシューなどに実施されている。

構成

高周波焼入き入れ、火炎焼き入れ、レーザー焼き入れ

高周波 火炎 レーザー
ワーク S30C以上炭素鋼、合金鋼、鋳物
焼き入れ方法 コイル ガス ヤグ、プラズマ
焼き戻し 低温焼戻し 150~ 200℃ 場合によっては不要
硬度 目安 <炭素鋼> S45C:Hv580   S58C:Hv750 <合金鋼> SK5:Hv800 SCr420:Hv350 SCM435: Hv550 <鋳物> ねずみ鋳鉄FC250:Hv 500 球状黒鉛FCD450: Hv350
硬化層深さ 1~2㎜ 1~2㎜ 1㎜以下
長所 インライン化容易低コスト 形状制約少ない 局所焼き入れ低歪
短所 肉薄部品不可

◆高周波焼き入れ

高周波誘導加熱により表層のみを加熱する。熱処理の硬度とし、耐摩耗性などを向上させる。中炭素鋼、合金鋼、鋳物に多く用いられている。局所焼入れが可能で、製造ラインでは作業時間が短く自動化ができるなどの長所がある。

サイズ:

10㎜~50㎜

材質:

S30C以上炭素鋼、合金鋼、鋳物、焼き入れ保証された熱間圧延鋼板SPHCなど

工法:

焼き入れ→焼き戻し

◆火炎焼き入れ

部分加熱により表層のみを加熱する。熱処理の硬度とし、耐摩耗性などを向上させる。中炭素鋼、合金鋼、鋳物に多く用いられている。アセチレンガス、都市ガス、プロパンガスなどと酸素との火炎によって、鋼の表面のみを加熱し、焼入れする方法。高周波の場合は誘導電流によって自己発熱する内熱式に対し、炎の場合は外熱式。ワークの形状や寸法に制限を受けないが、肉薄部品には対応できない。焼入れした後は焼戻しが必要。

サイズ:

10㎜~100㎜

材質:

S30C以上炭素鋼、合金鋼、鋳物

工法:

焼き入れ→焼き戻し

◆レーザー焼き入れ

部分加熱により表層のみを加熱する。熱処理の硬度とし、耐摩耗性などを向上させる。S30C以上炭素鋼、合金鋼、鋳物に用いられている。高エネルギー密度のレーザビームを鉄鋼部品に照射して加熱し自己冷却によって焼入硬化させる方法。レーザ発振装置には炭酸ガスレーザが多いが、他にヤグレーザ、プラズマレーザなどがある。短時間に小さい面積で局所焼入れができ、ひずみの発生も少ないのが長所。場合によっては、焼入れ後は焼戻しの必要ない。

サイズ:

極小幅

材質:

S30C以上炭素鋼、合金鋼、鋳物

工法:

焼き入れ→場合によっては焼き戻し不要

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