母材の靱性を確保しながら表面のみを高硬度化し、耐摩耗性と耐疲労強度を両立させる方法。表層全体の処理となり部分的な焼入れはできない。全硬化層深さは処理時間を長くすれば3㎜近く入れることができる。熱処理方法は浸炭炉内の浸炭性ガスを充満させ、鉄の変態点温度以上の900~940℃程度まで焼き入れ加熱し、浸炭深さに応じて、4時間~20時間保持、その後焼入れ冷却と焼戻し処理をする。浸炭性ガスは鉄鋼材料に接触すると分解し活性炭素を生じ浸炭する。
浸炭後の焼入冷却には焼入油を使用しており、以下の3タイプの焼入油を材質や形状によって使い分ける。
- コールド油(冷却性が高く肉厚品、炭素鋼や低合金鋼)
- ホット油(焼入歪みを抑制)
- セミホット油(幅広く適用される)
【表面硬度】Hv800
【全硬化層深さ】200~1000μm
サイズ
10㎜~500㎜
材質
肌焼き鋼(SCM415等)、低炭素合金鋼(SCM,SCr,SNCM)
工法
焼き入れ→焼き戻し