特殊ダイカスト

■特殊ダイカスト部品

普通ダイカストでは、ブローボールや引け巣などの欠陥が多いため、各種の特殊ダイカスト法が考案されている。 真空法は、大型薄肉品の製造に適用される。熱処理や溶接が必要な部品は高真空法や無孔性ダイカストPF法で製造する。無孔性ダイカストPF法は厚肉品にも適用できる。

ブローホール引け巣熱処理溶接中空形状
普通ダイカスト
真空法
高真空法
無孔性ダイカストPF法
局部加圧法
アンダーカット

■真空法・・・薄肉の大型製品に対応する。型内部のキャビティを低真空にして気泡の巻き込みによるブローホールを少なくする特殊ダイカスト法。大型の薄肉加工はできるが熱処理と溶接はできない。

装置:低真空装置 -20~-50KPa(20~50 %真空)

■高真空法・・・気密性や、溶接性が必要な薄肉の大型製品に対応する。真空法ダイカストでは気泡の巻き込みが少なく熱処理と溶接ができないが。対策として金型や射出機構のシール性能を向上させ、気密性を高め、型内部のキャビティを高真空にして気泡の巻き込みによるブローボールを極めて少なくすることで、熱処理と溶接が可能となる。 大容量真空装置で空気を吸引したり、排気バルブ構造により高速排気したりするが、高真空状態の形成は各社で工夫している。

装置:高真空装置 -90~-95KPa(90~95%真空)

■無孔性ダイカストPF法(Pure Free Diecasting)・・・PF法は酸素置換法とも呼ばれる。型内部のキャビティ内の空気を酸素に置換し、アルミと反応させて超微細酸化物を形成する過程の真空状態を利用してブローボールを少なくする特殊ダイカスト法。熱処理と溶接が可能となる。

装置:酸素置換装置

■局部加圧法・・・引け巣とよばれる凝固不良を防ぐために、不良が出やすい部位の金型に、ピストンを設けて局部加圧し、引け巣を防ぐ特殊ダイカスト法。局部加圧法だけでは、全体のブローボールは少なくできないので、熱処理はできない。

治具:加圧ピストン装置

■アンダーカット法・・・ダイカストの型は2つ割のため、通常工程ではアンダーカットや中空形状はできないが、中子を用いて、アンダーカット形状の製品を作ることができる。

ダイカスト用中子は、引抜中子(外周細工用)、置き中子(内周細工用)、崩壊性中子(中空用)、の3種類がある。崩壊性中子はダイカストの高圧に耐えるように特殊コーティングを実施している。

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