酸素(O₂)センサー

エンジンの空燃比を理想的な値にコントロールするのに重要なセンサー。
取り付け位置は触媒の上流と下流の2か所に装着される。高温にさらされる上流側が故障しやすい。
上流側のO₂センサーはエンジンから出た排気ガスを検知しており、エンジンの中の空燃比を監視する。一方、下流側のO₂センサーは、触媒により浄化された後の排気ガスの残留酸素量を検知し、触媒が酸化還元しているかどうかを監視する。

排気ガス中の残留酸素濃度を検出し、その検出結果を電気信号としてECU に送信している。ECU はその結果を元に、理論空燃比14.7:1 にするために、燃料の濃さを調節している。
理論空燃比とは、ガソリンと空気の理想的な混合比率である。この割合は、理想的な燃焼を行うためだけでなく、一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)を浄化させるために最も効率のよい比率でもある。

エンジンチェックランプ灯点灯時の、スキャンツールによる診断では、酸素(O₂)センサーの故障が最も多い。O₂センサーに使われているジルコニアは、600℃以上の温度でないと活性化されないため、ヒーターで暖機する。そのため、O₂センサーはヒーター切れの故障が多く、欧州車では定期交換部品に指定されている。
酸素(O₂)センサーとA/Fセンサーがあり、以下のような仕様差がある。

□酸素(O₂)センサー
エンジンの燃焼状態をチェックするために、排気ガス中の酸素を検知し、空燃比が理論空燃比に対してリッチ (濃い)かリーン(薄い)かの信号を出すセンサー。
酸素センサー素子には酸素を通過させるジルコニアセラミックス(ZrO2)の多孔質体を使用する。片側を大気、反対側を排気ガスにさらすと、酸素濃度の高い気体側から低い気体側へ酸素イオンが移動し,両電極間に発生する起電力を信号として出力する。
理論空燃比(λ=1)の近傍で酸素濃度が急変し、約1ボルトの電圧変化が起こる性質を利用して、理論空燃比に対してリッチ (濃い)、リーン(薄い)の2択の信号を出す。

□A/F(Air-Fuel Ratio、空燃比)センサー
二酸化ジルコニウムなどの検出素子を使用して、排ガス中の酸素濃度を細かな変化を検出する。

酸素(O₂)センサーではリッチ (濃い)、リーン(薄い)の信号の変化しか検出できないが、A/F(空燃比)センサー は、変化するその時々の空燃比をリニアに信号出力することができるため、A/Fセンサーに置き換わってきている。

サイズ:50㎜~100㎜
構成:化学センサー、ケース、電線、防水カバー、コネクター

◇化学センサー
構成:検出素子(二酸化ジルコニウム筒+白金コーティング)、ヒーター、気密シール、素子保護カバー
◇ケース
材質:低炭素鋼S20Cなど
工法:冷間鍛造→機械加工(旋削)→三価亜鉛メッキ→センサー組付→防水カバー組付→コネクター組付

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする