スプリング

スプリング

ばね。線ばねと板ばねがある。

物体の弾性を利用し、力を加わると変形し力を取り除くと元に戻る。

■線ばね

線ばねは線細工ばねとコイルスプリングに大別され、コイルスプリングはさらに圧縮コイルスプリング、引張コイルスプリング、ねじりコイルスプリングに大別される。

コイルスプリングのばね乗数は線経、コイル径、巻き数、全長を変えることで自由に設計できるため設計の自由度が高い部品と言える。また、荷重たわみ特性を変化させた不等ピッチやたる形などのスプリングが使用されることもある。ばね仕様は取付荷重、最大ストローク、必要耐久回数などを規定し、初期応力と応力振幅から疲労耐久性を検討し決定する。強度部材として使用する場合には、水素脆性によるおくれ破壊のおそれがある電気めっきは行わないのが良い。

圧縮スプリングの場合は密着の場合でも許容応力内で設計し変形しないようにする。引張コイルスプリング、ねじりコイルスプリングの場合は一般にコイル本体よりフックの疲労強度が劣るため、フックの設計にも注力し、応力集中しない形状とする必要がある。

方式

コイルスプリング(圧縮コイル、引っ張り、ねじり)、線細工バネ

サイズ

10㎜~1000㎜

材質

ピアノ線SWPB、ばね用ステンレス鋼線SUSWPB、合金鋼のばね鋼SUP 材など

工法

線材セット→本体コイリング→端部熱間フォーミング→熱処理(焼入れ焼戻し)→座巻き研削加工→温間ショットピーニング→低温焼きなまし→セッティング(最大荷重付与)→表面処理(テンパーカラーまたは化成処理または塗装)

■板ばね

自動車では,板ばねと皿ばねが使用される。材質は高級ばね材料の SUP10(ばね鋼10 種)が適用されることが多い。

車軸懸架式(リジットアクスル)で使用される板ばねはリーフスプリングと呼ばれ、SUV車と商用車に用いられる。細長いばね鋼の板を3~10枚 重ね合わせたもので、スプリングとして力を吸収する。

皿ばねはワッシャ形状の中心部が円錐状に盛り上がったばね。使用方法はダイアフラムとして反転させる使い方と撓ませて荷重を得る方法がある。単体で使用する場合とハの字に複数枚重ねて使用する場合がある。

自動車用途では、単体の使用例はMTのクラッチに使われるダイヤフラムスプリング。放射状のスリットが入っており、反転しやすい構造になっている。通常はダイヤフラムスプリングのばね力でクラッチの接続状態を保ち、中央部をクラッチペダルからの人力で押しつけ、ダイヤフラムスプリング反転作用を利用してクラッチの切断を行う。

複数枚使用の事例はトルクリミッターなどで、大きな荷重を必要とする場合にハの字に複数枚重ねて使用する。コイルばねよりも大幅な省スペースとなる一方で皿ばねは設計製造が難しい部品として知られている。皿ばね内部で広範囲に高い応力が発生するため、厚板の場合は内部まで均一に適正に熱処理される必要がある。耐久性が必要な場合は、残留応力を与えるショットピーニングが施すと耐久性が上がる。また板厚などの誤差でもばね特性に大きく影響しやすく、一定の荷重を得るためには高さ調整が必要になる。破壊モードは割れとなる場合が多いためフェールセーフ設計が望ましい。

方式

板ばね、皿ばね

サイズ

10㎜~1000㎜

材質

SUP10(ばね鋼10 種)

工法

フォーミング→熱処理→表面処理

(リーフスプリングの場合)

切断加工→穴明け加工→熱間端末加工(加熱→幅狭加工→目玉巻き)→熱間圧延テーパ加工→熱間キャンバ成形→熱処理(焼入れ&焼戻し)→ショットピーニング→目玉仕上げ加工→クリップ組み付け→ASSY組立→荷重検査→浸漬塗装、静電塗装、電着塗装、粉体塗装など

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