当初の統合制御ECUは、トラクションコントロールで実用化された。ABSブレーキの車輪速センサーを利用し、エンジンECUとABSブレーキECUが統合制御となった。
駆動力の制御は、エンジントルクの抑制と駆動輪の制動力制御を組み合わせて行なわれた。
統合ECUは、エンジンECU、トランスミッションECU、ブレーキECU、サスペンションECU、ステアリングECU、などに指令を出す役割を持ち、各ECUの機能をソフトウェア的に束ねる方向で開発されている。
重要保安系のECUの多くは、ミリ秒単位のリアルタイム処理を保証するため、高速の専用ソフトウェアを実装している。そのため、1つのECUに統合するのは困難だが、設計の見直しや調達の見直しでECUの数も減らし、コストダウンと信頼性向上を両立する技術動向になっている。
さらに今後の自動運転への対応では、オートクルーズや、自動緊急ブレーキ(AEB)を進化させ、認知・判断の機能を統合する。
ECU間の通信ネットワークは車載LANという。
画像は日立AMS製車両統合制御ユニット。
種類
統合制御ECU
◇パワートレイン系ECU
エンジンECU
トランスミッションECU
◇シャシ系ECU
ブレーキECU
パワーステアリングECU
サスペンション制御ECU
サイズ
100mm~200mm
構成
電子基板、金属筐体、コネクター
■業界動向
◆テスラが先行する統合ECUの導入
テスラはECUを大きく3つに集約し、それぞれを「フロントボディーコントローラー」「レフトボディーコントローラー」「ライトボディーコントローラー」と呼んでいる。しかし、物理的には統合されているが、機能的には独立している。ひとつのコンピューターが関係するあらゆる機能を制御しているわけではなく、多数のECUをひとつのプリント基板上に集約しているにすぎない。このように、統合制御ECUをどのような構成にするか、まだ業界全体での方向性は定まっていない。
◆「eアクスル」に車両統合制御機能を統合
EV用の駆動システム、「eアクスル」に、駆動と直接的に関係がないブレーキや熱マネジメントシステム、ナビゲーションシステムなどをECUに組み込んで販売するメーカーもでてきた。
実績のあるECUは自動車における戦略物資となっている。ECUと機械部品の合わせ売りによって、ECUと関係のない機械部品の販売動向も左右することになる。