化成処理

□自動車部品で多く使用される化成処理

自動車では水素脆性の懸念がないのでボルトや高強度部材などに化成処理も多用される。防錆力と耐摩耗性の性能順に、リン酸マンガン被膜、リン酸亜鉛被膜、四三酸化被膜(黒染め処理)となっている。

画像はパーカー加工製リン酸マンガン被膜。

三価クロメート四三酸化被膜リン酸亜鉛被膜(防錆)リン酸亜鉛被膜(塗装下地)リン酸マンガン被膜
ワーク亜鉛メッキ品、アルミ鋼材(炭素鋼SC、合金鋼SCM、ステンレスSUSなど)金属(鉄、ステンレスSUS、アルミニウム、マグネシウム、銅)金属(鉄、ステンレスSUS、アルミニウム、マグネシウム、銅)
薬品三価クロム酸水酸化ナトリウム NaOH(苛性ソーダ)リン酸亜鉛リン酸マンガン
被膜三価クロム黒さびFe3O4ホパイトヒューリオライト
処理温度(℃)22~28140~14550~7080~90
時間(分)110~305~10数分10~30
全硬化層深さ( μm)0.33~101~25~15
表面硬度(Hv)300~350150150650
長所光沢プレス、冷鍛潤滑液塗装下地焼きつき防止
短所クロム公害防錆油塗布   処理時間 劇薬指定   防錆油塗布 劇薬指定処理時間

◆三価クロメート酸処理

亜鉛メッキに適用する化成処理。耐食性の向上と装飾効果を目的に行う。特定第一種指定化学物質である六価クロムの代替えとして三価クロムが使用される。

サイズ

10㎜~1000㎜

材質(ワーク)

亜鉛メッキ、アルミニウム合金

工法

湯洗→脱脂→水洗→酸洗→高圧洗浄→塩浴炉→高圧洗浄→水洗→湯洗→乾燥→防錆

四三酸化被膜(黒染め処理)

鉄鋼材料に適用する防錆処理。黒色に着色し、耐食性が向上する。鉄鋼材を水酸化ナトリウム NaOH(苛性ソーダ)水溶液などの高濃度アルカリ溶液に浸せきすることで、表面に緻密な四三酸化鉄被膜 Fe3O4(黒錆び)を生成させる。防錆力は弱く、防錆油を塗布しておかないと錆びやすい。

サイズ

10㎜~1000㎜

材質(ワーク)

鋼材、ステンレス合金SUS、銅合金

工法

湯洗→脱脂→水洗→酸洗→高圧洗浄→塩浴炉→高圧洗浄→水洗→湯洗→乾燥→防錆

リン酸亜鉛被膜、リン酸マンガン被膜

鉄、SUS、アルミニウム、マグネシウム、銅などさまざまな材料に適用する防錆処理。防錆、塗装下地、塑性加工の潤滑として使用される。単に「リン酸塩被膜」の図面指示の場合は、リン酸亜鉛被膜を意味する。最も一般的なリン酸塩処理法。硬化層は、リン酸亜鉛 Zn3(PO4)2・4H2Oを主体とする含水リン酸亜鉛で構成される。カチオン電着塗装や粉体塗装の場合は下地が厚いと割れるため 薄膜は1~2µmと薄くする。潤滑用ではリン酸亜鉛処理された鋼板はボンデ処理鋼板と呼ばれ、冷間圧延など塑性加工に用いられる。

サイズ

10㎜~1000㎜

材質(ワーク)

リン酸マンガン被膜:鋼材、

リン酸亜鉛被膜:鋼材、アルミニウム合金、亜鉛合金

工法

湯洗→脱脂→水洗→酸洗→高圧洗浄→塩浴炉→高圧洗浄→水洗→湯洗→乾燥→防錆

エッジング

金属やプラスチックに適用する接着面やメッキの下地処理(表面粗化)に使用する。エッジング液などの薬品による腐食作用を利用して金属を溶解加工する。

サイズ

10㎜~1000㎜

材質(ワーク)

鉄Fe、アルミニウムAl、銅Cu、ABSプラスチックなど

工法

洗浄→脱脂→浸漬→洗浄→乾燥

◆フォトエッジング

プリント基板の配線の作成や、加飾部品の模様形成に使用される。写真製版技術により形状パターンを金属上に作成し、エッジング液にて不要部分を除去する技術。

サイズ

10㎜~1000㎜

材質(ワーク)

ステンレスSUS、アルミニウムAl、ABSプラスチック、プリント基板など

工法

原版作成→湯洗→脱脂→フォトレジストのラミネート→露光でパターン焼付→現像処理→エッジング溶解除去→レジスト剥離→製品検査

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