熱間圧延鋼板SPHCは1.6㎜~9㎜の厚板、冷間圧延鋼板SPCCは0.8㎜~3.2㎜の薄板が流通している。
SPHCは高温での圧延加工によって、組織は均質な安定した組織になる。加工しやすく量産に適しているが、欠点は酸化膜が生じ、黒錆として表面に表れている。一方、SPCCは冷間圧延工程で加工硬化が生じていることから材料は硬くなっていてやや加工性が落ちるが表面はみがき状態で外観部品に適する。1.6㎜~3.2㎜は両方の設定があるので、用途により選択できる。いずれもさびやすいので表面処理が必要になる。
近年、軽量化のための超ハイテン材が開発されている。SPFC、SPFHなどの590MPa以下のハイテン材は強度アップとプレス加工性が両立されている。超ハイテン材では材料が先に開発されて、加工法は後から考えられている。プレス加工が楽なホットスタンプ用のハイテン材も開発されているが加熱と冷却で加工時間がかかり、コスト高で、CO2排出量も増える。そのため冷間プレス成形のニーズが高い。しかし、絞り加工はなんとかできても、打ち抜きの金型寿命が持たないため、レーザー高速切断加工などとの組み合わせる場合もある。
◆よく使用される鋼板
一般材 | 一般材 | ハイテン | ハイテン | 超ハイテン | 超ハイテン | バネ材 | バネ材 | ||
JIS記号 | SPCC みがき | SPHC 黒皮 | SPFC みがき | SPFH 黒皮 | ― | ― ホットスタンプ用 | S85CM (旧SK5) | SUS304 – CSP | |
成分 % | C0.15 | C0.12 | ― | ― | ― | C0.2 マンガンボロン鋼 | C0.85 | Cr18 Ni8 | |
引張強度 MPa | 270 | 270 | 440 590 | 490 540 590 | 780 980 1180 | 1470 1800 2000 | ― | 930 3/4H | |
伸び % 2.3㎜ | 38 | 29 | 18 | 20 | |||||
鋼材製造法 | 冷間 | 熱間 | 冷間 | 熱間 | 冷間 | 冷間 | 冷間 | 冷間 | |
適用部品例 | 薄板 | 厚板 | 薄板 | 厚板 | ボデイ | ボデイ | バネ材 | バネ材 | |
価格 円/㎏ | 130 | 100 | |||||||
性能 | 強度 | △ | △ | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
靭性 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | △ | △ | △ | 〇 | |
耐食 | x | x | x | x | x | x | x | ◎ | |
加工性 | 絞り | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | △ | 〇 | X | X |
抜き | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | x | x | 〇 | 〇 | |
切削性 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | x | x | x | x | |
溶接性 | △ | ◎ | △ | 〇 | △ | △ | x | x | |
同系列材 | SPCD 絞り SPCE 深絞り | SPHD 絞り SPHE 深絞り | |||||||
流通する 板厚㎜ | 0.8 1.0 1.2 1.6 2.3 2.8 3.2 | 1.6 2.3 2.8 3.2 4.5 6.0 9.0 | 0.5 0.8 1.0 1.2 1.6 2.0 2.3 | 1.6 2.3 3.2 4.5 | 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 | 1.2 1.4 | 0.5 0.8 1.0 1.2 1.6 2.0 2.3 2.6 3.2 | 0.01 ~ 0.08 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.2 1.5 2.0 |