電動ブレーキ(バイ・ワイヤー)

電動ブレーキ(バイ・ワイヤー)

ブレーキペダルとマスターシリンダーの間にシュミレーターと呼ばれるセンサーとコンピューターを組み込み、人力で直接制動せず、電動モーターで制動力を得るブレーキ機構。

電力失陥時の対応はキャパシタ等補助電力を搭載したり、油圧を蓄圧するアキュームレーターなどが使用される。

電動ブレーキでは本来ブレーキペダルは単なるスイッチで踏みごたえはない。そのため、ブレーキシミュレータ―を設置し、従来車の油圧式ブレーキシステムと違和感なく乗車できるように油圧ブレーキを模した踏みごたえを作成している。しかし、近年はブレーキ踏力が軽くなりすぎていて、従来車と交互に乗車すると、ブレーキ力の調整が難しく電動ブレーキではカックンブレーキになる傾向にある。

自動車は加速や定速走行の機会が圧倒的に多く、減速の機会は少ない。回生ブレーキはモーターブレーキのことで、少ない減速の機会にできるだけ多くのモーターブレーキを掛けようとするため、人力の油圧ブレーキと縁を切って、コンピューター制御でモーターブレーキと油圧ブレーキを配分しなければ、燃費や電費を向上させることができない。

近年はパーキングブレーキもバイワイヤー化している。目的は利便性の向上で、サイドレバーを引く力作業がボタン操作に変わっている。信号停車時の自動パーキング機能が好評を得ている。

画像はBosch製回生ブレーキシステム。

構成例1:2010年2代目プリウス:電動ブレーキアクチュエーター、1BOX
① 電動マスター兼ESC、ペダルストークシミュレーター、ブレーキECU、モーター、ポンプ、アキュームレーター

構成例2:2018年アイシン:電動ブレーキアクチュエーター、3BOX
① 電動マスター、ペダルストークシミュレータ―、ブレーキECU
② 油圧ユニット:モーター、ポンプ、アキュームレーター
③  ESCユニット(モーター、アクチュエーター)

構成例3:BOSCH:電動スクリューブースター、2BOX
① 電動スクリューブースター、マスターシリンダー、ペダルストークセンサー、ブレーキECU
② ESCユニット(モーター、アクチュエーター)

構成例4:BOSCH:電動スクリューブースター、1BOX
① 電動スクリューブースター兼ESC、マスターシリンダー、ペダルストークセンサー、ブレーキECU

■電動ブースター
機械式スクリューブースター式と油圧ブレーキアクチュエーター式がある。
前者の機械式スクリューブースター式はマスターバックの代わりに、モータースクリューブースターに置き換えたもので、ボールねじ等を使用する。通常の油圧ブレーキシステムでもブレーキバイワイヤーシステムでも使用できる。

後者の油圧ブレーキアクチュエーター式は、ブレーキバイワイヤーシステム。
ブレーキマスターの油圧とは縁を切り、油圧ブースターの油圧をブレーキシュミレーターのECU信号によって制御する。

サイズ:300㎜
材質:アルミ合金
工法:冷間鍛造→切削→組立

■ペダルストロークシミュレーター

ブレーキバイワイヤーシステムの電動ブレーキではブレーキマスターの油圧とは縁を切っており、運転者の意思は、ストロークと踏み込み速度をペダルストロークシミュレータ―によってブレーキ信号をブレーキECUに送っている。ブレーキECUによって油圧ブレーキと回生ブレーキ(モーターブレーキ)の切り替えや協調を行っている。

サイズ:200㎜
材質:アルミ合金
工法:冷間鍛造→切削→組立

■フェールセーフ部品(キャパシタまたは油圧アキュームレーター)
電源が落ちたときのバックアップ方式。キャパシタ式とアキュームレーター式がある。ブレーキ・バイ・ワイヤのシステムでは、ブレーキペダルは単なるスイッチに過ぎないので、電源が落ちると油圧ポンプを駆動するモータが作動せず、制動力を発生しない。これを防ぐために、バックアップ電源としてキャパシタを備えるかまたは、油圧蓄圧器であるアキュムレーターを備え、高い油圧がマスターシリンダにも伝わって油圧ブースタとして機能し、ブレーキ数回作動させる。
◆油圧アキュームレーター
サイズ:200㎜
材質:アルミ合金
工法:冷間鍛造→切削→組立

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