プレス部品
板材を彫り込み形状のある金型上下1組で圧縮成形する工法。
大量生産の場合では生産サイクルの速さから、最も安価な製造法となる。ただし、金型が高価なため少量品の場合は高価になる。機械式クランクプレス、油圧式プレスに大別されるが、最近は難加工のハイテン材を加工するためにストローク速度を自由に制御できる電動サーボプレスも増えている。
自動車用プレスサイズ 30トン(90SPM)~5000トン(15SPM)
サイズ
10㎜~2000㎜
構成
プレス部品、ファインブランキング部品、テーラードブランキング部品、曲げ加工、ロール成形部品
材質
熱間圧延鋼板SPHC、冷間圧延SPCCなど
形状:板材、コイル材
工法
単発プレス、タンデムライン、トランスファープレス、順送プレス、サーボプレス
■単発プレス
工程ごとに単発でプレス加工を行う。自動車部品加工では大量生産のため、ブランク加工のみで完了するものは、材料はコイル材として、送り装置を装着して自動運転することが多い。
■タンデムライン
単発プレスを並べてライン化したもの。設備にトランスファー機構を持たないため、手搬送となる。トランスファーほどの生産性はないが、金型を変えるなど臨機応変な加工ができる。
■トランスファープレス
単発プレスを横に並べてライン化し自動搬送装置を加えて自動化したもの。近年の搬送装置の低価格化によって普及している順送り加工法。
順送加工と比べると、順送プレスでは製造できない形状変化の大きな製品や大物の加工ができる。また、材料歩留まりも良いが、サイクルがやや遅く生産性が劣り、装置が高価なことが短所になる。
■順送プレス
金型は最終工程まで部品が切り離されないように、順番に異なる形状のキャビティーが等間隔で配置される。材料はコイル材を使用し、一コマづつ送りながら、少しずつ変形させ深絞り形状でも成形できる。長所は一度に複数の工程がプレス加工できるので、生産性が高い。短所は、材料の無駄が多く、金型費が高額になる。また、最終工程までコイル材から切り離せないので形状に制約がある。
サイズ:10㎜~100㎜
構成:コイル材、順送金型、順送プレス機
材質:冷間圧延鋼板SPCCなどの薄板
工法:鋼板→順送金型→プレス自動機→材料送り→コイル材から切り離し(最終工程)→繰り返し
■サーボプレス
広く普及している機械式クランクプレス、油圧式プレスではなく、1990年代日本で発明されたCNCコンピューター制御のプレス技術。サーボモーターにより直接ラムを駆動するため、プログラムによって2段押しや下死点制御などスライドモーションを自由に設定できることが特徴。従来のクランクプレスでは不可能とされた100%せん断面プレス、高張力鋼板などの難加工材のプレスや、深絞りの割れ防止、冷間鍛造の高精度化、金型寿命の向上などが可能になってきている。
サイズ:10㎜~100㎜
構成:サーボプレス機、スライドモーションプログラム
材質: 難加工性薄板(ハイテン材、SUS材、アルミ材)など
工法:サーボプレス→プログラム→可変スライドモーションプレス