ゴム部品とは
大きな変形と復元特性が最大の特徴。他材料の追従を許さない。
非タイヤ製品のゴム材質は用途に応じて選定される。通常温度域150度CまではエチレンプロピレンEPDMの採用が多いが、鉱物油に適さない。そのため、鉱物油の場合には水素添加ニトリルHNBRが適用されることが多くなってきている。
自動車では、タイヤ、防振ゴム、シール部材、ホースなど要素部品として多用される。重量で5%、容積で20%がゴムで構成されている。
防振ゴムはその柔軟性により、車体やエンジン、 サスペンションなどの耐久性を高め、乗員の快適性を向上させている。
シール部材は運動用と固定用がある。運動用はアクチュエーター部品に多用され、トランスミッションのオイルシールなどの回転シール、ブレーキマスターシリンダーの往復シール、ブレーキブースターのダイアフラムなどに区分される。ゴム材質は対象媒体と使用環境に応じて選定される。
ゴムホースは部品間の相対変位の生じる部位に使用される。ブレーキホースなどは高圧のため補強層のある三重ホースなどが使用される
□材質別用途例
ゴム材質 | エンジン | シャシー | 車体 | |
本体 | 補機 | |||
NR | マウント | ブッシュ | ||
IIR | エアコン | |||
BR | タイヤ、トルクロッド | |||
CR | ホース外層 | ワイパー | ||
SBR | プーリー | タイヤ | ||
NBR | オイルシール | マスタバッグ | ||
HNBR | ガスケット | パワステ | ||
EPDM | ラジエータ,ホース外層 | ブレーキ | ウェザーストリップ | |
ACM | オイル、ターボ、排ガス | |||
シリコーン | ウォッシャ | |||
FKM | 吸排気バルブ | 燃料 |
サイズ
5㎜~2000㎜
構成
ラバーメタル部品:防振ゴムマウントなど
ゴム射出成形部品:シリコーンゴム製品など
ゴム押出成形部品:ウェザーストリップなど
材質
ゴム材質 | 使用温度 | 特徴・用途 | |
天然ゴム | NR ジエン系 | -70~90度 | 強度防振性能良好、耐候性が劣る |
合成ゴム | ジエン系(硫黄加硫) | ||
IR 合成天然ゴム | -70~90度 | 強度防振性能良好、耐候性が劣る | |
SBRスチレンゴム | -45~125度 | タイヤ用ゴム、鉱物油不適 | |
NBR ニトリルゴム | -40~125度 | 耐鉱物油性良好、耐候性が劣る | |
HNBR 水添ニトリルゴム | -25~150度 | 耐鉱物油性良好、耐候性、高温性改良材 | |
合成ゴム | 非ジエン系(架橋剤加硫) | ||
EPDMエチレンプロピレン | -40~150度 | 鉱物油不適、その他の性能は良好 | |
ACM アクリル | -40~180度 | 高温用、耐鉱物油性 | |
Si シリコーン | -60~225度 | 低温用 | |
FKM フッ素ゴム | -20~250度 | 高温用 |
ジエン系:ポリマー主鎖に二重結合をもち、化学的には反応性に富むため、硫黄で容易に加硫できる特徴がある。化学的な安定性を欠くために、耐候性・耐オゾン性・耐熱老化性に劣る。
非ジエン系:ポリマー主鎖に二重結合をもたない。化学的には反応性が弱いため、共通の特徴は酸化に対する抵抗性が高い。耐候性・耐老化性・耐オゾン性が良い。
工法
コンプレッション成形、トランスファー成形、射出成形、押出し成形