ラバーメタル部品
エンジンマウント、サスペンションブッシュ、ダンパーマウントなど金属とゴムを一体化した部品で、防振ゴムの用途が多い。
最も多い成形法のコンプレッション成形法は金型温度170℃程度の適温にした金型にゴム材料を仕込んで金型を閉じて架橋時間5分~15分程度、圧力をかけて取り出す。生産性が低いので通常、金型サイズ一杯にの彫り込みを増やして1回の成形工程で複数個の同時プレスを行う。熱プレスは安価なので少量生産にも対応できる。
画像は住友理工製防振ゴム各種。
□エンジンマウントゴム
エンジンや車体部品の保護のための防振ゴム。エンジンをエンジンルームに半固定する役割。エンジンの振動が車体に伝わるのを防ぎ、車室内の快適性を確保する。
エンジン防振機能は商品性にもかかわる重要特性である。アイドリング時はエンジンそのものが振動源となるため、柔らかい特性(低いバネ乗数)が求められる。一方、加速時は、路面からの振動でエンジンが加振され共振するのを防ぐ目的で高い減衰力が求められる。構造は簡単なゴムブロックが多いが 液体封入式もある。3点支持方式が多い。
設計面では、エンジンやプロペラシャフト系との共振を避けなければならない。エンジンは振動騒音の発生源で、また、走行時は路面からの入力で加振されることから、エンジンマウントには次のような機能と特性が求められる。
求められる特性 | ゴム機能 | 設計条件 |
エンジンを正しい位置に支持する | 静的剛性 | エンジン重量、重心 |
エンジンの振動を遮断する | 広い周波数域での低剛性 | エンジン振動、プロペラシャフト反力 |
エンジン支持系の共振を抑える | 共振周波数域での高減衰 | エンジン共振、プロペラシャフト共振 |
エンジンの動きを規制する | 静的高剛性 | ブレーキ、衝突 |
サイズ
50㎜~150㎜
構成
上下金属ハウジングの中間にゴム一体モールド
材質
・ゴム:天然ゴムNRなど
・金具:熱間圧延鋼板SPHCなど
工法
・金具:ショット→洗浄→接着剤塗布
・ゴム:ゴム錬り→計量→投入準備
・成形:離型材塗布→材料投入→型閉じ→ 型締め→加硫→ 冷却 →型開き→取出し→オーブン二次加硫→仕上げ(バリ抜き)→洗浄
□サスペンションブッシュ
サスペンションの各種アームのジョイント部分に使用される緩衝部品。振動を遮断し乗り心地を改善する。ゴムは圧縮方向に硬く、せん断方向に柔らかい特性があるため、形状や配置方法により性能が変わる。ブッシュ状のものは半径方向に硬く、軸方向に柔らかい。ワッシャ状のものは上下に硬く、前後左右に柔らかい。
サスペンションブッシュは高い周波数の振動を吸収し、「ごつごつ感」をなくすことを目的として、足回りとボディとの接点に多数使用し、部位によって硬度とばね乗数を変え、路面から伝わる振動を吸収して、タイヤを常に接地させ続けられるように設計している。一方でゴムのたわみはハンドリングを鈍くするため、設計が難しい部品の一つ。
サイズ
30㎜~100㎜
構成
上下金属ハウジングの中間にゴム一体モールド
材質
・ゴム:天然ゴムNR、HNBR (水添ニトリルゴム)
・金具:機械構造用鋼管STKM材など
工法
・金具:ショット→洗浄→接着剤塗布
・ゴム:ゴム錬り→計量→投入準備
・成形:離型材塗布→材料投入→型閉じ→ 型締め→加硫→ 冷却 →型開き→取出し→オーブン二次加硫→仕上げ(バリ抜き)→洗浄