炭素繊維強化樹脂CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)
CFRPは熱硬化性樹脂と炭素繊維織布の組み合わせで、オートクレーブ工法(高温高圧炉)からスタートしたが生産性に課題があった。そのため、生産性向上を狙いとして、新たに熱可塑樹脂との組み合わせが考案されてきた。しかし、炭素短繊維と熱可塑性樹脂の射出成形機による成形が生産性は最速だが、耐熱性がなく強度不足のため小物部品や軽負荷ドアパネルなどへの採用に留まっている。一方、本来の熱硬化性樹脂も課題だった硬化時間が改良され、熱プレスなどを使用するハイサイクル工法が実用化されている。
□工法区分
区分 |
CFRP |
CFRP |
CFRP |
CFRP |
CFRTP |
CFRTP |
工法 |
ドライカーボン |
RTM |
PCM |
PCM |
射出成形 |
LFT-D |
樹脂 |
熱硬化 |
速硬化 熱硬化 |
速硬化 熱硬化 |
熱硬化 |
熱可塑 |
熱可塑 |
中間材 |
プリプレグ織布 |
連続繊維 |
プリプレグ織布 |
SMCシート 短繊維 |
なし 短繊維 |
押出材 連続繊維 |
予備成形 |
真空成形など |
射出 |
― |
― |
― |
― |
成形機 |
オートクレーブ |
熱プレス 複合 |
熱プレス |
熱プレス |
射出成形 |
熱プレス |
サイクル |
数時間 |
300秒 |
180秒 |
300秒 |
30秒 |
60秒 |
サイズ
100㎜~2000㎜
構成
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)、
CFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics)
ゴルフクラブのシャフトが代表例。炭素繊維を重ねて樹脂で固めた複合材料。軽量で鉄並みの強度がある。加熱すると硬化する熱硬化性樹脂のCFRPと加熱すると溶ける熱可塑性樹脂のCFRTPがある。
材質
プリプレグ (Pre-preg):中間材として炭素繊維織物に樹脂を含浸させたシート
SMCシート:炭素繊維を短くチョップして熱硬化性樹脂と練り合わせて半硬化したシート。
工法
■熱硬化性CFRP
■ドライカーボンxオートクレーブ法
成形型に予めパターンカットされたプリプレグを配置しておき、一層ごとに真空ポンプで脱気を行い、必要な板厚になるまで積層した後、オートクレーブに入れて高温高圧にて成形する。成形時間は数時間かかる。
樹脂:熱硬化性エポキシ樹脂
中間材:プリプレグ
工法:冷間成形(真空引き等)→オートクレーブ(高温高圧)
■RTM(Resin Transfer Molding)工法
炭素繊維織物を金型内に置いた後に熱硬化性樹脂を含侵して加熱硬化する方法。高価なプリプレグを使用しない成形法。特殊な注入ユニットと専用の高速硬化性樹脂を用い、主剤と硬化剤を衝突混合させ、そのまま高圧で連続繊維に注入・含浸させる。含浸と硬化時間が大幅に短縮され、300秒でのハイサイクル成形が可能。高強度なCFRPが成形できる。
樹脂:熱硬化性エポキシ樹脂
中間材:炭素繊維織物
工法:複合工法(インジェンクション+熱プレス)
■PCM (Pre-preg Compression Molding)工法
プリプレグやSMCシートを高圧圧縮する熱プレス成形法。
速硬化型エポキシ・プリプレグは、金型温度を定温に保つことができるため、型温度の加熱・冷却を繰り返す熱可塑性の熱プレス成形よりも簡易なシステムで済み、RTM法に比べて作業工数が少なく、サイクルタイムは180秒で成形できる。
樹脂:熱硬化性エポキシ樹脂
中間材:プリプレグ、SMCシート
工法:熱プレス
■熱可塑性CFRTP
■射出成形法
通常の射出成形機で成形できる。成形時間は30秒前後。
樹脂:ペレット(炭素短繊維+熱可塑性樹脂PPなど)
中間材:なし
工法:射出成形
■LFT-D工法(Long Fiber Thermo plastics-Direct)
炭素連続繊維と熱可塑性樹脂ペレットから直接押し出して素材を製造し、高速プレス成形する新工法。成形時間は60秒以内。
樹脂:熱可塑性樹脂PAなど
中間材:押し出し材(炭素連続繊維+熱可塑性樹脂)
工法:熱プレス